「有難う」で広がる笑顔の輪
信友さんは今、自宅でお父様の介護をしています。
利用者として、介護に携わる若い人たちへのメッセージを、若い職員さんたちには介護職への思いを伺いました。

信友さんは今、自宅でお父様の介護をしています。
利用者として、介護に携わる若い人たちへのメッセージを、若い職員さんたちには介護職への思いを伺いました。


東京大学文学部卒業。同年、森永製菓(株)入社。その後、テレビ番組制作プロダクションを経て現在はフリー。2018年、認知症になった母と老老介護する父を娘の視点から描いたドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』で映画監督デビュー。20万人以上を動員する大ヒットとなり、文化庁映画賞など数々の栄誉に輝く。2022年の続編映画『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~』では、母の看取りや延命治療についても描いた。現在、くれ観光特使と呉市総合計画審議会委員も務める。
著作
『ぼけますから、よろしくお願いします。』(信友直子/新潮社)
『ぼけますから、よろしくお願いします。おかえりお母さん』(信友直子/新潮社)
『おとうさんは103さい』(信友直子・吉田尚令/さ・え・ら書房)
『認知症介護のリアル』(信友直子・恩蔵絢子/ビジネス社)
『あの世でも仲良う暮らそうや 104歳になる父がくれた人生のヒント』(信友直子/文藝春秋)


居宅介護支援事業所めぐみ園 管理者。主任居宅介護支援専門員。准看護師。ケアマネジャー歴11年。3児の母。信友氏のお母さんのケアマネジャーも務め、今はお父さんを担当。

呉市内の高校卒業後、老人保健施設にて5年間介護職員として働く。1年前に介護福祉士を取得しめぐみ園に入職。めぐみ園では訪問介護事業所めぐみ園に所属し、サービス提供責任者として、近隣のご利用者様宅への訪問介護を中心に従事している。

呉市出身。県内の大学を卒業後、一般企業(インフラ関係で営業職)を経てめぐみ園に入職。めぐみ園では、訪問介護事業所めぐみ園に所属し、主に近隣のご利用者様宅への訪問介護を中心に従事している。

呉市出身。呉市立呉高等学校 総合学科卒。新卒でめぐみ園に入職し、この春社会人2年目となる。めぐみ園広ショートステイに所属し、食事や入浴、排泄などの日常生活の介助のほか、レクリエーションなども提供している。
直接のきっかけは、中学生の時のお仕事体験でした。実際に介護施設に行った時に介護職のやり甲斐を感じて、そこからですね。
初志貫徹じゃね。高校は福祉科?
呉に福祉科のある高校が無かったので、普通科に行って選択で「生活と福祉」を取りました。卒業後に就職した会社が無くなってしまったので、めぐみ園に入職したんです。
高校2年生までは、看護師か介護士か迷っていたんです。進路を決めなくてはいけなくなった時に看護師にしようかと思ったんですが、いざとなると向いているのか分からなくなってしまって。それで医療や福祉関連の仕事を調べ直しているうちに、お年寄りが好きだから介護士がいいかなと。最終的には、利用者さんから直接「有難う」と言われる仕事をどうしてもしたくなって、介護士を目指すことにしました。この春で2年目になります。
じゃあ、まだ19歳?若いね!
廣本さんはいかがですか。
私が介護業界に入ろうと思ったきっかけは、福島にいる叔母なんです。その叔母が事故で不随になってしまってヘルパーさんが入ってくれたんですが、身体的なお世話はもちろん、花木の剪定までやってくれて。おかげで生活がちゃんと成り立つのを見て、私もそんな仕事で人の役に立ちたいと思ったんです。
たまたま前職の取引先に介護施設があって、そこの若い介護職の方と話しているうちに本気で転職を考えるようになりました。この春から社会人4年目になったんですが、子供が産まれるタイミングでもあったので、自分は本当に何をしたいのかを真剣に考えたいと思ったんです。
利用者さんのお役に立てることも嬉しいんですが、色んなお話を伺えるし、何より知見を深められるというか…。
そうよね、みんな人生の先輩じゃもんね。
はい。本当に勉強になります。
転職にあたって、職場や友だちからは何も言われなかった?
周囲からは、めちゃめちゃ言われました。でも元々、決めたら変えることはないという性格なんです。両親も、「決めたんならいいんじゃない?」っていう感じでしたし。
それに、もう介護業界に行きたいと決めていたので、気持ちは揺るがなかったです。
私もそうだった。森永製菓を辞めて制作プロダクションに入った時、「そんな吹けば飛ぶような所に行くんじゃない!せっかく大企業に入ったのに」って。でも「テレビの仕事をしていたら…」とずーっと後悔するのは嫌だなと思ったんよね。だから気持ちはよく分かるな。
いい奥さんよね〜。
はい。感謝しています。
自分で研修を受けて資格も取れてから、めぐみ園に入社してくれたんですよね。
はい。休みを利用して研修を受けました。
この業界に入るために、前の仕事を続けながら本気で頑張ったんじゃね。
新濱さんも、高校は普通科?
総合学科だったんですけど、選択科目の「福祉基礎」で少しだけ介護のことを学びました。でも研修に行ったことはなかったので、めぐみ園に入ってから実質的に研修を始めた感じです。
実際に利用者さんを抱えると、本当に重いでしょ。
それはもう一番ビックリしました。特に、自分より体格のいい大きい方の移乗には苦労しています。
新濱さん、細いもんね〜。
明比さん、すごく頼りになるもんね。貫禄があるから20代には見えない(笑)。
よく言われます(笑)。
介護業界って、色んな分野があるんですよ。デイサービス、ショートステイ、老人保健施設、ヘルパーさんとか。新濱さんは、これから先の目標は決まっていますか?
介護職員の初任者研修を受けて介護福祉士になって、最終的にはケアマネジャーを目指したいです。
本当?嬉しい!将来、私の後継者になってくれそう。明比さんはなぜ「訪問」を選んだんですか?
私、老人保健施設と特定入所施設の2種類の施設に6年位いたんです。特定入所施設は合わなくて辞めたんですけど、老健ではデイサービスと施設の2つを体験しました。ただデイサービスは、私には合わないかな〜と思って。
施設やデイサービスの職員って、資格が無くても出来る仕事もあるんですよ。でも、介護福祉士の資格を取ると「サービス提供責任者(サ責)」になれて、「訪問」だったら「サ責」の業務が出来るので選びました。
介護業界に来ようと思った理由は叔母のことがあったからなので、どうしても「在宅」にこだわりがあったんです。
叔母さんがやってもらっていたことが、素晴らしいなと思って?
はい。ヘルパーさんのおかげでそれまでの生活が維持出来て、生活が更に良くなったと聞いたので、自分もそんな風に人の役に立ちたいと思ったんです。
花木の剪定までやってくれたって、ヘルパーさんはそんなことも出来るの?
自費で依頼する方法もあるので、そうなのかなと思います。
訪問もやり甲斐があるけど、施設は施設でいろんな魅力がたくさんありますよ。施設で一番安心なのは、困った時にすぐに助けを呼べることかな。?
じゃあ、この仕事を選んで良かったと思うことを教えてください。
利用者さんから直接笑顔で「有難う」って言ってもらえるのが、本当に一番です。入浴やトイレの介助をして「有難う」と言ってくださると、この仕事を選んで良かったなぁと思ってすごくやり甲斐を感じます。
大変だなって思うのは?
やはり移乗ですね。まだ身体の使い方とか、正しいやり方を分からないままやってしまっているので、腰が痛い時があるんです。ちゃんと研修で学びたいと思います。
今、介護業界で働こうとしている若い人たちって、減ってるじゃない。皆さんはすごく信念を持って介護職に就いていらっしゃるけど、明比さんは友達や家族から反対されんかった?
私は、もうこの仕事しか考えていないって貫いて来たし、親も「好きなようにしなさい」というタイプなので、全部自分で決めました。叔母も看護師なので「いいんじゃない?」という感じだったし。
「こんなはずじゃなかった」って思うことはない?
うちの祖父が、施設で嫌がられるようなおじいちゃんだったですよ。リハビリパンツのポリマーを出したりとか。だから、入社した時にはもう「病気だからしょうがない」という割り切りが出来ていました。本人のせいじゃなくて、病気がそうさせているんだと分かっていたので、そういうことはなかったですね。
それに、私は初めから重度の認知症の部署に配属されて、困った行動も病気のせいだと思うようになっていたので、毎日違うことが起きて興味深いっていう感じでした。
へ〜、そうなの!?
おしっこが漏れると「ごめんね〜」と言われたりするんですけれど、「謝らなくていいよ」って言ったら「ありがと、ありがと」って言ってくれて…。で、次に行くと「あんた、また来てくれたんじゃね〜」っていつも待ってくれているのが嬉しくって。
私は周りに「介護をしたい」という友達がいないから介護の道に進むと決めた時はビックリされたんですけど、家族は「いいんじゃない?」って言ってくれました。
じゃあ入ってみて、「こんなはずじゃなかった」って思わん?
思わなくって、今は結構楽しいです。
めぐみ園ではちゃんと資格も取らせてくれるんですけど、明比さん、ケアマネジャーは目指していますか。
はい、目指したいと思っています。私はずっとこの仕事を続けていきたいですし。
この仕事でキャリアアップしていきたいんよね。絶対に定年まで働く人じゃね(笑)。
嬉しい。私の後を継いでもらわんといけんけんね(笑)。皆さん、これからの人生で色々なシーンがあると思うけど、生活スタイルに合わせた働き方を提案したいって思っています。お産や介護でまとまった休みが必要な時にもちゃんと考えるから、安心して仕事を続けてくださいね。
明比さんは色んな事業所から声が掛かるような優れた人材だと思うけど、なんで、めぐみ園を選んだの?
「サービス提供責任者」をやりたいと思った時に募集していたのが、めぐみ園とあと2社だったんです。他は転勤が多いので、ここがいいなと。それと、たまたまデイサービスに高校の同級生がいて、「小山さん、すごくいい人よ〜」って言っていたので(笑)。
有難うございます(笑)。新濱さんは、どうして、めぐみ園?
会社見学で来た時に雰囲気がすごく明るかったのと、資格取得のサポートをしてくれるというのを聞いて、未経験の私でも働きながら資格が取得できるんじゃないかなと思って応募しました。
廣本さんは?訪問介護への思いが熱かったよね。
私も介護業界への転職を考えた時に、介護業界未経験で、訪問介護で正社員の募集というのがなかなか無かったんです。地元で探して、訪問介護があったのがめぐみ園だったんです。
では皆さん、理想の介護士って、どんな感じですか?
私は、最期まで笑顔でいてもらえるような介護、「あんたがおって良かった」と言ってもらえるような介護士になりたいなぁと思ってます。
もうなっているような気がするけどね(笑)。
新濱さんと廣本さんは?
信友さんは、若い子がご自宅に来るのっていかがですか?頼りないと思います?
一般的にはベテランの方が経験豊富で安心なのかなとは思うけど、若い人が来てくれるのは嬉しいですよ。雰囲気も華やぐし、気持ちも上がるし、父も若い人と喋るのは楽しそうだし。それに、うちに来てくれているのは誰よりも経験値がありそうな明比さんなので、すごく頼りにしてます(笑)。
父は明比さんが来ると、明らかに嬉しそうなんです。その日は、1時間くらい機嫌がいい(笑)。
明比さんってね、出来ることはさせてくれるんですよ。食事でも、まず父にスプーンを持たせる。ペンを持たせてサインもさせる。だから父も「頑張ってやろう」というモチベーションになってると思う。
うちの利用者さんのご家族って、若い子が来ると喜ばれることが多くて。
ふだん若い子と話をする機会ってあまり無いし、来てくれるとすごく嬉しいと思うよ。
お孫さんたちとも会う機会が少ないんですってね。だから同じような年頃の子が来てくれたら嬉しいのかな。
それに介護職の若い人ってお年寄り慣れしとるじゃない。若い子の中には、弱ってしまったお年寄りにどう接したらいいか分からないとか、動揺する人もおると思うんよね。でも介護職の人ってお年寄り慣れしていて、全て分かった上で自然な接し方をしてくれるから、嬉しいんだと思う。その人らしさをすごく大事にして声を掛けてくれるしね。
本当に関係づくりは難しいよね。利用者さんの状態は変わらなくても、職員の意識を変えることで、関係をプラスに捉えられるようなヒントを与えてあげられるといいよね。
そうなんです。職場で不安や悩みを持つ職員さんや新人さんに、グループワークでの研修を進めていきたいなと。めぐみ園でそれが出来たら、次は呉だけじゃなく、日本中の色んな施設にも行かせてもらえたらいいなって。夢の夢なんですけど、いずれそういうことが出来たら、介護に携わる人の意識が変わって、「面倒臭いなぁ」という態度じゃなくて、利用者さんに対して優しい介護が出来るんじゃないかと思うんです。
そのためには、いま持っている仕事をみんなに分けていかんといけんよね。私が介護が必要になったら小山さんにお願いせんといけんので、ケアマネとしても頑張ってね(笑)。
有難うございます。それまで、おられるかね(笑)。
では、新濱さん。
今の介護業界には若い人材が少ないので、どんどん若い人が入ってくれたら嬉しいです。私も実際にめぐみ園で働いてみて介護は楽しいっていうことが分かったので、ぜひ同年代の若い人に入ってきてもらって一緒に働きたいなと思います。
有難うございます。では、廣本さん。
訪問介護は身体の支援もありますけど、掃除などの家事的な部分や生活に必要なノウハウや能力も身につくんです。介護業界に若い人にぜひ来てもらって、家でも役立つスキルも学んでほしいと思います。
介護ってどんな仕事なのか実際に携わってみないと分からないと思うので、めぐみ園ではインターン制度を設けています。いろんな施設で、学生向けの実習も取り入れていきたいと思っています。
介護が必要になるまで介護職の人って縁遠い存在だったんだけど、介護が始まってみたら、とても素人だけじゃ出来ないということがよく分かりました。オムツ交換や適切な水分補給、痰の処理の仕方等々、知らないことばかり。皆さんに教えてもらって少しずつ出来るようになりました。
介護のプロの人たちに教わることって他にもすごくたくさんあって、支えられていて、必要不可欠なエッセンシャルワークだなっていうのを常々感じているんです。
今は父のために、ヘルパーさんや看護師さんが1日に2回、訪問入浴の方が週に1回来てくれています。私だけだと父はあんなに快適な毎日は送れんと思うし、口数も減って、父のクォリティ・オブ・ライフはかなり下がってたと思う。身だしなみに気を遣わなくなったり、もっと弱っとったかもしれんけど、皆さんが朝夕来てくれることでシャキッとするし、話をすることで社会性が保たれたり、笑顔も増えてくる。帰る時も最後まで手を振って「有難う」って言うのは、毎日すごく楽しみにしとるからなんよ。
私も一人だとすごく疲弊して、父のことが嫌になったり、親子関係がギクシャクしていたかもしれん。
お世話だけでなく、父や私の気持ちも明るくしてくれて、本当に嬉しいですね。
父と明比さんのやりとりを見ていたら、すごく「やり甲斐を感じられる仕事なんだろうなぁ」と感じるし、心から有難いなと思います。本当にお年寄りやその家族にいい影響を与えてくれる大切な仕事なので、たくさんの若い人にこの仕事に就いて欲しいと思います。
有難うございました。
※対談は2026年春に行われたものです。
Photographer:竹内 みのり(bdesign)/
Table Coordinator:正福寺 紀香/
Sweets:松田屋
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